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命の食事about "Meal of Life" project

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「命の食事プロジェクト」

郷土の家庭料理ひまわり亭で約20年間、代表の本田が行なってきた「郷土料理伝承塾」をさらに発展させて実施しているプロジェクトです。今や二人に一人がガンになる時代。育まれてきた郷土の家庭料理をベースに、食を通じて生き方まで、参加者と共に学びあいたいと思っています。

祈りを込めた人吉球磨の"きょう"食しょく文化

私たちの郷土・人吉球磨地域は、先人たちが慈しみ守り育てた山林や田畑、清流球磨川や川辺川、霊峰・市房山など豊かな自然に恵まれております。この恵まれた自然とその地域の伝統文化、そして生活の中から生まれてきた「郷土の食」は、まさに伝えられてきた背景やつなげてきた人びとの生き方までもが伝承される、大切な食文化です。「三十三観音めぐり」のように人吉球磨は祈りの文化が深い地域。この地域は、子供を思い作ったおやつなど、相手を思って作られた料理が多いことが特徴です。成長を願って作られた「あん入りちまき」は、すくすくと伸びる竹のように長く作られていて、包装にも竹の皮が使われています。すべての食に祈りが込められていて、人吉球磨の根底に祈りがあることを物語っています。

家庭の食卓でしか味わえない郷土食

2016年の熊本地震をうけ、避難所で「菓子パンやコンビニ弁当」が配給される中、あらためて、温かいおみそ汁や炊き立てのご飯、お漬物など「日常の食卓」がいかに有難く、心が豊かになるのかを実感してまいりました。食事は、誰のために料理を作るのか、誰と食べるのかということがとても大切です。自分の愛する家族や仲間と囲む食卓には会話があり、作った人の思いが込められた料理が並ぶ。その雰囲気と思いが食として体に入り、血や肉になるのです。家庭料理は家庭や地域への愛情そのもので、お店で食べることはできません。家族愛や地域愛、人間愛、そういうものが家庭の食卓の中にはあります。それが質素であっても「おいしい」と思える理由です。

郷土の家庭料理を見なおす

昔は晴れの日にはごちそうを作っていましたが、普段の食事は質素でした。いまは食が豊か過ぎて、がんや糖尿病などの生活習慣病になる人が増えています。食材が24時間どこでも手に入る現代。消費者は選択肢が多過ぎて本当に体にいい物が何か分からなくなっています。豊かな食の「豊食」から飽きる食の「飽食」へ、そして今は崩れる食の「崩食」となっています。何が崩れたかというと日本の食の基本が崩れているのです。食は健康な身体と心を作る基本。空腹を満たすだけのものではありません。今はお金を出せば手に入り、健康面より安ければいいと考える人もいます。郷土の家庭料理は栄養面も優れています。食にもっと関心を持ち、先人たちの知恵が詰まった郷土の家庭料理を見なおしてほしいです。

食することは生命をいただくこと

地域のつながりが強かった昔と違い、いまは人のつながりが疎遠になっています。郷土の家庭料理も受け継がれることが難しくなってきました。そこで先人が作った家庭料理を記録に残しながら次世代に伝えていく「命の食事プログラム」という活動をしています。“ 身土不二 ”、 “ 医食同源 ” という言葉のように私たちはその土地で生産された旬のものを手間ひまかけて愛情豊かに料理を作り、食することによって生命をいただいてまいりました。私たちの想いと郷土の「食」のもつ素晴らしさが広く認知され、次の世代へ繋がっていく事を願い、3つの生 (生活・生産・生命)を大切に、この輪をひろげていきたいと思います。

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本田 節リュウキンカの郷 代表

相良村の専業農家生まれ。37歳の時にガンの闘病生活を経験。1989年「ひまわりグループ」を結成し、ボランティアやまちづくり活動を開始。そこで出会った仲間たちと、1998年に「もったいない」をキーワードに、食を地域資源とした拠点「郷土の家庭料理ひまわり亭」をオープン。平成29年、球磨郡あさぎり町にて、「食・農・人総合研究所リュウキンカの郷」を開所。食を軸に、次世代の農業農村を担う人材育成に奮闘中。

熊本県球磨郡あさぎり町から「食」の魅力を発信する交流施設